医療法人真生会 真生会富山病院

いみず総合診療専門研修プログラム 活動レポート

2026年4月27日(月)

KSI第3回②:研究論文のScienceとArt

今回の大学院講義では、昨年作成したリサーチクエスチョンをもとに、論文のイントロダクションを執筆するという課題に取り組みました。

私たちが臨床の現場で日々直面する漠然とした疑問を、「クリニカルクエスチョン」と呼びます。そのクリニカルクエスチョンを、研究によって解決可能な形に落とし込んだものが「リサーチクエスチョン」です。

臨床に真摯に向き合えば向き合うほど、文献を調べても世界ではまだ解決されていない疑問に突き当たります。専門家である以上、それは避けられません。その壁――すなわち、世界が共有する未解決の壁、あるいは世界がまだ気づいてすらいない壁――を乗り越えることが、「研究」の本質だと思います。それだけに、良いリサーチクエスチョンを生み出すには十分な臨床経験が不可欠であり、逆に、十分な臨床経験があれば、積極的に、臨床研究に取り組まねばならないと思います。

自分のリサーチクエスチョンに関連する先行研究を丹念に調べていくと、「すでに分かっていること」と「まだ分かっていないこと」が次第に明確になってきます。その「分かっていないこと」を解決することが多くの人の笑顔につながるのか――それが、リサーチクエスチョンを研究として推進すべきかを判断する上での大きな指針となります。

論文のイントロダクションに求められるのは、その研究が世界に対してどのような意義を持つのかを、明確に伝えることです。査読者や将来の読者が「なるほど、この研究は必要だ。こういう意図で取り組もうとしているのか」と腑に落ちるよう伝えること――まさにこれが、論文における「アート」だと思います。

論文とはサイエンスとロジックの極みだと思っていた私にとって、「その意義をいかに人に伝えるか」というアートの部分もまた重視されるという気づきは、新鮮な驚きでした。

研究とは何か、論文とは何か――5日間を通じて、視野が大きく広がる貴重な経験をさせていただきました。

また、火曜日の夜にはKSIの教授方やメンバーの皆さんとの会食の機会をいただきました。わずか2年前、新入生として緊張しながら参加していた自分が、今度は送り出される側になったことに、改めて時の経過を感じた一夜でした。

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